母の日が近くなると、デパートやコンビニ、郵便局、役所など、子どもたちが描くお母さんの似顔絵をここかしこで見ることができます。子どもの頃、お母さんの似顔絵を描いた方も多いのでは…。大人になるとなかなか似顔絵を描く機会はありませんが、相手のことを想って描かれた似顔絵の良さはずっと変わらないもの。この記事では、母の日と似顔絵にまつわるエピソードをひとつご紹介します。
母の日が出産の入院期間が重なった!
まゆみさん(仮名)は毎年、ご自身のお母さんに欠かさず母の日のプレゼントを贈っていました。まゆみさんにとって母の日は、感謝の気持ちを目に見える形で表現できる大切な日。昔から自分の気持ちを言葉にすることに苦手意識があるまゆみさん。そのため、贈り物に気持ちを代弁してもらえることは、とてもありがたかったのです。
ところが、プレゼントを選びに行こうと思っていた日、なんと陣痛が。まゆみさんは妊娠しており、予定日よりも3週間ほど早く陣痛が来たのでした。無事に出産を終えることができたのですが、母の日のプレゼントを用意できないまま、入院中に母の日を迎えることに…。
お母さんに感謝の気持ちを伝えたい…どうすれば?と考えた末に
もちろん、プレゼントはインターネットでも購入することができます。ですが、この頃はまだスマートフォンもそれほど普及しておらず、まゆみさんも不慣れな買い物は避けたいところでした。誰かに頼む?それともプレゼントを渡すのは延期する?と色々考えた末、選んだのはお母さんの「似顔絵」を描くこと。似顔絵のことを思いついた瞬間、懐かしさが込み上げてきて、今贈るのにふさわしいプレゼントでは?と思ったそうです。
まゆみさんはさっそく夫に色鉛筆と画用紙を持ってきてもらうようお願いしました。始まったばかりの育児の合間にお母さんの似顔絵を描き、メッセージを添えました。子どもの頃を思い出すようにして、丁寧に。出産にもかけつけ、毎日産院に顔を出してくれるお母さんに、感謝の気持ちを込めて。
退院の日、そして、母の日。まゆみさんは似顔絵をお母さんに渡しました。恥ずかしい気持ちもあったのですが、お母さんの目がすぐに潤んだのを見て、胸がいっぱいに…。驚くことにお母さんも「私もひとつ似顔絵を持ってきたの」とバッグから何かを取り出しました。
お母さんが手にしていたのは、まゆみさんの育児記録をしてある母子手帳。育児の参考に、と思って持ってきてくれたのです。そしてそこには、なんと、まゆみさんが20数年前に描いたもうひとつの似顔絵が挟み込まれていました。偶然にも、同じ人を描いた2つの似顔絵が揃ったのです!
クレヨンで描かれた、お母さんの丸い顔。その似顔絵をきっかけに、お母さんからは「この頃のあなたはね…」と、今まで聞いたことのない思い出話も飛び出し、まゆみさんはとても暖かな気持ちになったのでした。きっと、その後の育児の励みにもなったことでしょう。
似顔絵やイラストは思い出にも残りやすい
母の日に品物をプレゼントするのも喜ばれますが、似顔絵やイラストの印象は強く、思い出にも残りやすいもの。お金をかけることだけが感謝の気持ちを表現する方法ではありません。まゆみさんのように、似顔絵をきっかけに思い出される過去もあるかも…。ぜひ、童心に返って似顔絵を描いてみてください。メッセージに素敵なイラストや写真をつけるのも、とてもおすすめです。