母の日には、母親にカーネーションを贈るのが常識だと思っている人は多いです。しかし、なぜカーネーションを贈るのかを知っている人は多くありません。今回は、母の日にカーネーションを贈る理由や、贈られるカーネーションが赤色である理由などについて紹介します。
☆もともとは亡くなった母親への贈り物
1900年初頭のアメリカで、アンナという女性の母親が亡くなりました。生前の母親はカーネーションが好きだったので、アンナは亡き母親に向けて、多くのカーネーションを贈りました。また、母親をしのぶ集会でも参加者にカーネーションを贈ったのです。これが母の日にカーネーションを贈る由来であるといわれています。ただし、今のように母親にカーネーションの花束を贈るようになったのは比較的最近のことです。それまでは、亡くなった母親をしのんだり、存命の母への愛情を表したりするために、子供たちは自分の胸に付けていたのです。この風習が日本に伝わり、次第に母親にプレゼントとしてカーネーションを贈るスタイルに変化していきました。
☆どうして赤色なのか
アンナが亡くなった母親に贈ったカーネーションは白色でした。つまり、もともとのカーネーションは赤色ではなかったのです。赤色のカーネーションを使うようになったのは、母親への想いを表すために子供たちが胸にカーネーションを付けるようになったときです。アンナの提案で、母親が亡くなっている場合は白色のカーネーションを付け、母親が存命の場合は赤色のカーネーションを付けることになったのです。日本に風習が伝わったときも、この区別はありましたが、しばらくして赤色に統一されました。母親を亡くした子供が差別されていると感じるのではないか、という懸念の声が多かったからです。今では、そのようなエピソードは過去の話となり、多様な色のカーネーションが贈られるようになりました。
☆キリスト教との関係
キリスト教では、聖母であるマリアの流した涙の跡からカーネーションが咲いたといわれています。子供であるキリストが十字架にかけられて処刑される時に流した涙であり、母親と子供の愛情の象徴とされているのです。そのためマリアは、「カーネーションの聖母」と呼ばれることもあります。また、カーネーションの赤い色はキリストの血液の色であると考えられています。そのため、赤いカーネーションは母親への愛を表現する花であるとされているのです。そのような理由から、キリスト教では母の日にカーネーションを贈るのは当然であると認識されています。日本では、母の日の風習はキリスト教の教会から普及していったため、カーネーションを贈る習慣も同時に広まっていったのです。