日本ではかなり定着している母の日のイベントですが、世界に目を向けると日本とはまた違った母の日事情があります。中国には長く母の日の風習がないとされていましたが、徐々にその風習は広まりつつあります。中国の母の日とはどのようにして過ごすものなのでしょうか。
☆台湾経由で伝わった母の日
中国に母の日の風習が伝わったのは、台湾からと言われています。台湾では、戦後にアメリカから母の日の風習が伝わったと言われ、台湾において母の日は1年の中でも盛大に執り行われる一大イベントとなっています。そこから母の日の風習は中国へ徐々に伝わっていきました。そのため、アメリカや日本では、母の日を5月の第2日曜日としていますが、台湾や中国でも同じ日となっています。
中国ではこの日を「母親節」(ムーチンジエ)と言い、母親にカーネーションを贈ったりお菓子などのプレゼントをしたり、また家族そろって食事をしたりといったように過ごします。こうした点に関しては、日本とあまり変わらないものです。
中には、クリスマスや誕生日のお祝いのようにケーキを買ってきて、家族みんなで分けて食べるという風習もあり、また家族以外にも年上の女性に対して贈り物をすることもあります。
☆中国を代表する賢母の逸話
どこの国でも母親は強く、また多くの方が敬愛してやまない存在です。そんな中、中国に伝わる代表的な賢母の話があります。それは、儒教を広めた孟子の母の話です。孟子は早くに父を亡くし、母親は女手一つで孟子を育てることとなりました。母は孟子がよい環境で育って学習ができるようにと、住む先々での子供の変化を見ながら住処を転々としたのです。そこで行き着いたのは、多くの子供が勉強する学校の近く。すると孟子は、学校で勉学に励む子供たちと同じようにさまざまな書物に興味を持ち、正しい秩序を持って生活するようになったとのことです。こうした母の教育方針もあって、後に孟子は偉大な儒学者となったと伝えられています。
こうしたエピソードから中国では孟子の母を、中国を代表する賢母として尊敬してきたという経緯があるのです。
☆どこの国でも母に対する敬愛の念は変わらず
世界各国では、それぞれに母親に対する敬愛を示す日があり、その気持ちの伝え方も異なります。その中でも中国は、広まったのは近年と言ってもその祝い方は日本と共通しているところが多くあります。そして、中国のお国柄で見るとこの国では古くから親子の愛情や家族の絆を大切にしてきたという歴史があります。そのため、母の日に深い愛情を持って母親に感謝を伝える気持ちは強いものなのです。
街中でも、母の日にちなんだイベントやセールなどが積極的に行われ、賑わいを見せています。もともと母や家族を思う気持ちを強く持っていた中国では、当然の流れなのでしょう。5月の第2日曜日のイベントを行うようになってまだ日が浅いとはいえ、これからもっと盛り上がりを見せてくるのではないでしょうか。